私の前には、いつも或る重要な問いがありました。今もある、と言っていいでしょう。ビジネスとは何か。ビジネスは、何のために在るのか。答えは人によって異なるはずです。正しい解もないはずです。私は、世界が直面している問題を解決するためにビジネスを活用したい、まずはカンボジアでの雇用創出と機会提供、そして教育支援から始めたいと思い、A-LEADSを立ち上げました。アジアの発展途上国には才能や意欲は充分なのに、働く機会そのものがない若者がたくさんいます。将来の夢に目を輝かせながらも、その将来の選択肢がきわめて乏しいという現実に生きている子どもがたくさんいます。ビジネスを起点にして、アジアの発展と繁栄を牽引していくこと。これが私の志であり、A-LEADSの志です。まずは日本を始めとする各国の企業様とアジアの発展途上国を、ビジネス機会でつなげることから、その第一歩を踏み出しました。
A-LEADSは現在、シンガポールに本社機能、日本に営業機能、そしてカンボジアのプノンペンにオフショア拠点を構え、IT業務のアウトソーシングをお請けしています。オフショア拠点はまだカンボジアのみですが、もちろん他国での起業も予定中です。2011年に船出したばかりとはいえ、私たちはすでに確かな手応えを感じています。日本を中心に多くの企業様がお取引の機会をくださっているからです。結果、さっそくプノンペンの人の様子が、少しずつ変わってきました。1つ例をあげましょう。カンボジア拠点には、カンダール州というローカルエリアから、1時間ほどかけてバイクで通勤してくるひとりの若者がいます。弊社で働き始めてから、よく故障していたそのバイクが新しくなりました。服も綺麗になりました。自信もみなぎってきたようです。そして、彼は地元のちょっとしたヒーローとなり、周囲に希望を与えるようになりました。ひとりの人間が変わると、周りの人間も変わっていく。この連鎖が、きっと社会を変えることになると信じています。ここで芽生えた変化の輪をもっともっと大きくし、その成功体験をさらに他国へひろげていきたいと考えています。
私たちの志の具現化には、“ビジネス”のほかに外せないキーワードがもう1つあります。“教育”です。このテーマに対して、A-LEADSは主に2つの観点から取り組みます。1つはオフショア拠点内での、ITや実務に関する徹底した職業訓練。これはお取引企業様への当然の企業努力でもありますが、A-LEADSは発展途上国社会を内側から変えていける、現地のビジネス人材の輩出を目指しています。持続力ある真の変革は、最終的には内から導かれねば成就しません。2つ目の取り組みは、収益還元による、子どもたちの教育水準の底上げです。弊社の収益を原資としたカンボジア貧困地域への寄付は毎月実践しており、今後も永く継続的に行なっていきます。もちろんこうした教育への取り組みも、将来的に他国へ展開予定です。A-LEADSの志は、容易に成るものではありません。道のりは長く、きっと険しくもあるでしょう。しかし決して夢物語でない。私たちの考えに共感くださる企業様が日々増え続ける中、私はそう確信しています。